所長挨拶 & プロフィール
今、ここに住み、思うこと
この半世紀の間に形成された新たな地域社会である団地やマンションを見ていると、歴史始まって以来初めて、
そこに暮らす人々の間でお互いの生きていく営みの記憶が共有されていかない地域社会が形成されつつあるような危惧を覚えます。
誰かが死んだとしても、その人ががんばって生きた記憶が伝わっていかないとすれば、それはとても悲しい社会です。
私は、今住んでいる中山間地域の集落で恐らく死ぬでしょう。そうした意識で集落を見渡すと、田んぼにしても水路や橋にしても木々にしても、
今はもう亡くなられた方々の長年の営みにより、今の風景に彫琢されてきたことを感じます。お葬式に参列し、お話を聞くと、
自分一代だけの損得ではなく高い志を持ってよい仕事を後世に残された方々の生き様に頭が下がります。
そのような記憶を少しずつ共有し伝承する中で、自分たちも少しはがんばってみようとする健気さが一人一人の心に宿るのではないでしょうか。
私たちは、皆、いずれ死んでいく存在です。しかし、だからこそ、美しい営みを次の世代へと伝えていく末長い輪の中に身を置きたいと思います。
その場限りの「使い捨て」を続ける人や地域は、過去の尊い営みを消し去るだけでなく、未来に足跡を遺すこともできないでしょう。
田園回帰によって都市と中山間地域のバランスを回復させる中で、私たちは、そこに生きる人々の記憶が紡がれる「地元」を取り戻していくべきだと考えます。
「美しさ」と「時間」と「記憶」は、三位一体で「地元」の中でつながっていくのです。
私たちの研究の方法
私たちは、次のような3つの方法論で、地域社会の研究を進めていきたいと考えています。
①地域社会における綿密な診断
地域社会ごとに詳細なデータを集約・分析し、具体的な数字・エビデンスに基づく診断を行い、
それぞれの地域社会の可能性、底力、課題を地域住民と行政でしっかり共有していきます。
②地域社会同士をリンクした共進化~マス・ローカリズムによる地域政策形成
多くの地域社会のデータ・事例を全国的に共有し、地域・自治体同士の「学び合い」・「磨き合い」を促進する
「マス・ローカリズム」手法で「共進化」を実現します。そして、共通する促進要因・疎外要因を見出す中で、
現場発の新たな地域政策形成を主導します。
③「多様性」・「多角性」・「多重性」に基づく持続可能な地域社会の設計・運営
持続可能な地域社会を分野横断した全体最適の視点から展望し、地域ごとの「多様性」・地域内の「多角性」・
大小の循環圏をつなぐ「多重性」により、世代を超える長期的設計・運営を提示します。
持続可能な地域社会総合研究所 所長 藤山浩
所長プロフィール(2024年4月1日時点)
藤山 浩 (ふじやま こう)
一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所 所長
<経歴>
1959年 (昭和34年)10月 |
島根県益田市生まれ |
1978年 | 一橋大学 経済学部 入学 |
1982年 | 一橋大学 経済学部 卒業 広島県・県立高校社会科教諭、株式会社 中国・地域づくりセンター主任研究員、 ニュージーランド留学、広島大学大学院国際協力研究科等を経て |
1998年 | 島根県中山間地域研究センター 地域研究課 研究員 着任 |
2004年 | 同センター地域研究グループ 科長 |
2009年 | 島根県立大学連携大学院教授(10月より兼任) |
2013年 | 島根県中山間地域研究センター 研究統括監 |
2017年 | 3月同センター退職 4月「一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所」設立、所長就任 |
2023年 | 4月「上越市創造行政研究所」所長就任(兼務) |
現在、益田市に、日本一の清流・高津川の河畔の岩山に新居を構え、田園生活中。 冬は、29年間にわたり、100%薪ストーブで暖房。毎年6トンの薪割りが趣味。 |
<兼職>
北海学園大学客員教授(2019年度~)、総務省地域力創造アドバイザー(2019年度~)<専門分野>
中山間地域政策、未来社会論、地域計画、地域分析(人口・経済)、地域づくり支援<学位>
博士(マネジメント)2008年3月取得広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻
博士論文「中山間地域における地域構造の転換と新たな地域マネジメントに関する研究」
<主な委員等=2014年度以降>
内閣府地方創生ゼロカーボン推進業務有識者会議(2022年度) 「地方創生における中山間地域ワーキング」有識者委員(2015年度~)
「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」委員(2015年度~)
「i-都市再生交通モジュール検討会」委員(2018年度~)
総務省
「『田園回帰』に関する調査研究会」委員(2016年度~)
「地域の暮らしサポート研究会」委員(2017年度~)
国土交通省 国土政策局
「集落地域における「小さな拠点」形成推進に関する検討会」委員(2012年度~)
「都市圏における将来シナリオ策定に係る有識者委員会」委員(2014年度~)
「国土審議会計画推進部会 住み続けられる国土専門委員会」委員(2016年度~)
「小さな拠点を核とした地域構造検討会」委員(2016年度~)
総合政策局
「地域を支える持続可能な物流システムのあり方に関する検討会」委員(2014年度~)
農林水産省
「中山間地域等直接支払制度等に関する第三者委員会」委員(2010年度~)
「活力ある農山漁村づくり検討会」委員(2014年度~)
「人口減少社会に対応した農村整備研究会」委員(2014年度~)
農林水産政策研究所 機関評価委員(2017年度~)
厚生労働省
「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」委員(2016年度~)
環境省
持続可能な成長エンジン研究会 委員(2019年度~)
<主な著作、2015年以降>
「田園回帰1%戦略 - 地元に人と仕事を取り戻す-」2015年、藤山 浩 著、農文協「シリーズ田園回帰」全集
「『循環型経済』をつくる」
2018年、藤山 浩 編著、農文協「図解でわかる田園回帰1%戦略」シリーズ第1巻
「『地域人口ビジョン』をつくる」
2018年、藤山 浩 編著、農文協「図解でわかる田園回帰1%戦略」シリーズ第2巻
「『小さな拠点』をつくる」
2019年、藤山 浩 編著、農文協「図解でわかる田園回帰1%戦略」シリーズ第3巻
「日本はどこで間違えたのか~コロナ禍で噴出した『一極集中』の積弊」
2020年、藤山 浩 著、河出書房新社
<200字プロフィール>
藤山 浩(ふじやま こう)一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所 所長
1959年、島根県益田市生まれ。一橋大学経済学部卒業。博士(マネジメント)。島根県中山間地域研究センター等を経て2017年より現職。総務省地域力創造アドバイザー他、国・県委員多数。専門は、中山間地域政策、未来社会論、地域計画、地域分析(人口・経済)、地域づくり支援。著書に「田園回帰1%戦略」、「循環型経済をつくる」、「小さな拠点をつくる」、「日本はどこで間違えたのか」など